ぽちぶろぐ

真田氏、万年筆、灯台など興味あることを徒然に書いてみます。

菅島灯台

 今回の灯台は菅島灯台です!

犬吠埼灯台に次いでボクの好きな灯台です。

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灯台というと、岬や港に立っている、という印象があると思いますが、この菅島灯台は港の横にある山の中にぽつんと立っています。

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門扉にはちゃんと「菅島灯台」と書いてあります。が!

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 この上下の写真だと、これが灯台とはなかなか気が付かないのではないでしょうか。

 設計は前回の犬吠埼灯台に続いてブラントン。菅島灯台もレンガ造りです。

 ご覧のように、すごくキュートな灯台で、チェスのルークにそっくりです。国内にある他の灯台と比べると、ダントツに変わった灯台です。最近はいわゆるデザイン灯台という奇妙な格好の灯台がありますが、あれはボク的には不格好でしかないのです。機能美ではありません。この菅島灯台は海に面した島の山の上にポツッと建っていて、灯火の高さを調整してこの寸法になっているのですから、必要な形状というわけなのです。そうでなければ、海風が吹き付ける中、140年もびくともせずに建っているなど到底無理でしょう。当時の日本の煉瓦技術の確かさ、施工能力、そしてブラントンの設計が優れていたという証左ではないでしょうか。

 最初に見た印象は「ここに住みたいなあ」でした。なんでそんなこと思っちゃったのか、自分でもわかりませんが、住んでみたいと思っちゃったんです。昔なら灯台守になるという手もあったんでしょうけどねぇw

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 この菅島灯台は先に紹介した犬吠埼灯台よりも1年ほど早く竣工・初点灯した灯台です。現存する煉瓦製灯台としては最古です。この煉瓦も国産品です。ブラントンは国産(日本産)の煉瓦の強度に疑問を持っていた、というより自国(イギリス)の煉瓦のほうができがよいと思っていたとのことですが、日本にも瓦製造技術があり、140年以上も経っても、写真のようなきれいな状態を保っています。そのため、「日本の灯台50選」、「近代化遺産」に選ばれています。

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この灯台に到達するのは結構難度が高いです。

その名の通り、この灯台は菅島にあります。菅島は下の写真の鳥羽市営定期船で菅島に渡らなければなりません。20分ほどかかります。菅島は伊勢湾の入り口、渥美半島鳥羽市の間の伊良湖水道にあります。

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で、港に着いてから西側の山手に移動します。山の登り口に立つ案内板。ここまで550m歩いています。ここから1.5kmですから、トータルで2.05kmということです。とある案内には徒歩20分となっていましたが、山道もある2.05kmの道のりを20分というのは普通の人には無理じゃなかろうか?

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案内板に従って海岸線を少し歩くと周辺地図がありました。ちょっと見にくいですが、一番左端のところに菅島灯台が乗っています。点線が定期航路でこの船で鳥羽から菅島に渡ったわけです。

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この地図の案内板からすぐに山道になります。山道と言ってもきれいに舗装され、歩きやすいです。

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どんどん登っていくと次の案内板。さっきのところから500mほど歩きました。周りはうっそうとした雑木林です。

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で、さらに登るとメインの道路から遊歩道のような狭い道に入ります。

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この道です。幅はかなり狭くなり、車は通れませんが、やはりきれいに舗装されています。

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さらにさらに登っていくと、この案内板が。やっと1.2kmです。遊歩道に入って道の斜度が増し、歩く速度が落ちています。ここですでに20分。1.2kmを山道込みで20分ですから、まあそんなもん?

 あれっ、これだと菅島港と灯台は1.3kmになるけど・・・??

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周辺は草ぼうぼうで、遊歩道に草が乗り出していますが、しっかりと舗装されているので何とか草の進出を防いでいます。えっちらおっちら登っていくと、おお、ついに念願の菅島灯台が!

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訪問したのが夏であり、熱中症にならないよう比較的ゆっくりと歩きましたので、30分ほどかかりました。次の船まで1時間半ほどしかありませんから、往復の道程で約1時間。あまり余裕はなかったのです。途中にはこんな景色のトコロもあり、もう少し余裕を持ってゆっくりと見物するほうがいいでしょう。菅島は伊勢志摩国立公園内にありますから景色は抜群なのです。島の周辺はこのような岩礁が多く、灯台設立以前は船の難破が頻繁に起こっていたので、灯台の設立は必至でした。もともと、ここには御篝堂(おかがりどう)という火を焚いて目印としていました。350年ほど前です。

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菅島灯台往復経路では誰とも会いませんでした。かなりしっかりと整備されていますので、山道はともかく比較的歩きやすい経路でした。ただしそれなりにしっかりと歩かなければなりませんので、到達難度は中程度でしょうか。ボクとしてはぜひ訪れてほしい菅島灯台でした。

 

菅島灯台

三重県鳥羽市菅島町122

航路標識番号 2750
レンズ     第4等フレネル式
灯質     単閃白光 毎4秒に1閃光
光達距離     14.5海里(約27km)
塔高     9.7 m (地上 - 塔頂)
灯火標高(海面から灯火までの高さ) 54.5 m