ぽちぶろぐ

真田氏、万年筆、灯台など興味あることを徒然に書いてみます。

銚子観光(犬吠埼灯台)と鹿島神宮

 ちょっと遅れましたが、日曜日に友人K氏と銚子に行って参りました。

目的はもちろん犬吠埼灯台w それと少し足を伸ばして鹿島神宮に行ってみました。

Kさんと一緒に出かけると必ず晴天に恵まれます。ボクも結構晴れ男なのですが、Kさんも晴れ男のようで、二人で出かけるときは天気予報で雨となっていても、少なくともボクらがいる間は雨が上がっているのです。運がいいというか、何というかw

この日もそのジンクスに外れず、犬吠埼灯台の背景にはきれいな青空が広がっていました。

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うーん、白亜の灯台は快晴のブルースカイがよく似合う!

さっそく灯台に登ります。犬吠埼灯台は国内に13基ある参観灯台の一つです。参観灯台とは200円払うと上まで登ることができる灯台のことです。犬吠埼灯台は石段を99段登り、その後灯火のところまで金属製の梯子のような階段を登ります。小さな出入り口から体を屈めて外へ。風もまだ強くなかったので、日の当たる場所はぽかぽかでした。波はありましたが、外海なのでいつもこのくらいの波はあります。地球が丸く見える?

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 周りには遮るものがなく、通例は灯台の上は強い海風が吹いていますが、この日は比較的風も弱く、日差しは暖かくて気持ちがよかったです。Kさんとぼんやりと海を眺めながら小一時間も雑談をしていました。波の音も心地よくて癒やされます。

おすすめです。

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せっかく銚子まで来たので、おいしい魚料理屋へ。銚子に来るといつも寄る『鮪蔵』さんです。11時半頃店に入ったのですが、この日は盛況ですでに何組かの客が入っていました。いつもは12時過ぎると急に増えてくるんですけど・・・?

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どうやら、銚子特集か何かがテレビで放送されたらしく、銚子に食事目当てで押しかけたようです。金目鯛のしゃぶしゃぶ?とか銚子丼?とかが人気らしく、放送されたと思われる店には行列ができていたとか。ボクは運転していて気がついていなかったのですが、Kさんが行列を見かけたとのこと。うーむ、犬吠埼灯台好き、そして銚子も好きなボクとしては、銚子が賑わうことはよいことですが、一過性でなければいいんですけどねえ・・・?

これは板さんおまかせ定食。これにいわしと大葉、サツマイモの天ぷらがつきます。実は刺身はもうちょっと多いんですが、何枚か食べた後、写真を撮るのを思い出して慌てて撮影したのです。

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銚子のおみやげというと、銚子電鉄の濡れ煎が有名ですが、実は銚子には『柏屋』という、ぬれせんの本家本元(?)があります。銚子電鉄も好きなので、銚子電鉄を応援するという意味でも駅で濡れ煎を買うという手もあると思いますが、やはり本家があるのですから、柏屋へ。ちなみに、『ぬれせん』は柏屋の商標です。他のところは濡れ煎とか濡れせんべいと称しています。

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港からちょっと外れた、住宅地の中に柏屋があります。いかにもという店構えではなく、住宅の敷地の中に店がありますので見落としそうです。大きな看板がありますのでそれを目印にする方がいいと思います。キャッチフレーズは、『路地裏の柏屋』ww

www14.plala.or.jp

ここではぜひ『58秒のぬれせん』を購入して下さい。『58秒のぬれせん』とは、店の中でからんからんといい音を立てて小気味よく煎餅を焼いておられますが、その焼きたての煎餅を醤油にさっとくぐらせた直後の煎餅を出してくれます。これが香ばしくて、熱々でうまい!!

5枚で600円ですが、煎餅を1000円分ほど買うと、一枚100円でバラ売りしてくれます。ボクは持ち帰り用のぬれせんよりもこのぬれせんの方が遙かにうまいと思っています。しっとりしているぬれせんをレンジで温めるともっちりとなってそれはそれで一興ですが。この58秒ぬれせんは店頭でしか味わうことができません。

柏屋の煎餅はしっかり焼いてあるので、少しほろ苦く感じます。草加煎餅と比べると薄手ですが、かなり硬く締まっています。醤油は甘みなどを加えないまんまの醤油です。(ヒゲタ醤油? 未確認です)

持ち帰り用としては『態態わりわり』がおすすめ。その名の通りわざわざ割ってあるのですが、割った面が醤油に浸っていて何ともうまいです。

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店頭か通販のみ(だったと思います)で、お土産物屋にはありませんので、ぜひお店へ行ってみて下さいな。(柏屋の回し者ではございませぬ)

 それから菓子舗『堀井』さんへ。

銚子には「木の葉パン」というお菓子があります。銚子以外で見かけたことはないんですが、これが癖になる味なのです。佐賀の丸ボーロに似ています。素朴なお菓子ですが、これが非常に好きで、銚子に行くとまとめ買いしています。何店か、木の葉パンを売りにしている店はありますが、堀井さんの木の葉パンが一番好きですね。これは土産物屋にもありますが、銚子では土産物屋毎に木の葉パンの仕入れ先が違うようです。できたてゲットも含め、堀井さんで買い求める方がいいかも。繁華街からちょっと離れています。 年配のご夫婦で経営されています。「おじいちゃんの木の葉パン」っていう感じかな。懐かしい味ですよ。

 

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 他に、今回は行っていませんが、銚子電鉄観音駅の鯛焼きは生地がふかふかで食べ応えのある逸品です。これも知る人ぞ知る、かな?

それから飯沼観音のすぐ近くにある『さのや』のでっかい(分厚い)今川焼きも人気があります。銚子は魚だけではなく、素朴なお菓子の店がたくさんあります。土地柄でしょうかね?

 

また時間が早かったので、足を伸ばして鹿島神宮に行ってみました。

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kashimajingu.jp由緒ある神社ですが、年末年始が近づいているせいか、人出はそれほどでもなく、静かでした。この静かさはいいですね。明治神宮も時季外れに行くとひっそり閑としていて散歩には最適です。

 

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Kさんは御朱印をいただいたのですが、ボクはここではもらっていません。ボクは御朱印は真田氏関連だけ!と決めているので、鹿島神宮は真田氏とは関連がまったく見出せなかったのです。まあ、マイルールなのでw

それでも御朱印帳はもうX冊になってるんですよねえ。調べると真田氏と関係している神社仏閣は結構多いんです。

Kさん、お付き合いいただきありがとうございました。また一緒に出かけましょう! 

 

『趣味の文具箱 Vol.40』インクの評価ー表面張力その①

 趣味の文具箱 vol.40では科学的にインクの機能を評価するため、表面張力と粘度を測定している。ここでは何回かに分けてその結果について解説したい。

今回は表面張力その①。

今回、測定に用いられたのはペンダントドロップ、日本語では懸滴法と言われる測定法です。表面張力の測定はいくつかありますが、代表的な測定法の一つです。表面張力測定は非常に難しく、かつ丁寧な実験が要求されます。伺った範囲では、趣味文の編集者が装置をレンタルしてあれだけの数のインクを測定したとのこと。単純にすごいな、と思います。これだけの数をルーチンワークとはいえ、こなすのはよほどの根気がいったと思います。ただし、こうして書籍として発表される以上、データには精度が必要です。この点について、これだけの数を短時間で測定するのは相当のベテランでも精度よく測定するのは大変難しいことなのです。

 インクの表面張力とは何でしょうか?

表面張力とは空気と溶液(ここではインクのこと)との間の界面張力のことです。気体と液体の間の界面のことで気液界面といいます。

表面張力とは気液界面張力のことです。表面張力とはどのような力でしょうか。たぶん、なんとなくわかっているようないないような、と曖昧な方が多いでしょう。しかし説明しろと言われるとなかなか難しいと思います。簡単に言うと、「表面張力とは表面をできるだけ小さくしようとする力」です。これでなんのことかわかった人

は相当しっかりとした科学的な知識を持っておられる方で、この後の説明は不要でしょう。普通はちんぷん

かんぷん、何を言っているのかわからないと思って当然です。では、まず、なぜこのような『表面を小さくしようとする力』が生じるのか、水の例を用いて説明しましょう。

以下の図のように、水分子を○で示します。水は水分子の集合体です(実際はこんな風にきれいに配列していません)。ここで真ん中の水分子に注目して下さい。

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真ん中の水分子は周りすべてを水分子で取り囲まれています。図には示されていませんが、表面に並んだ水分子以外は他の水分子で囲われています。水分子同士は強く相互作用するため、真ん中の水分子のように囲われている方が安定なのです。

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これに対し、表面の水分子は上側に水分子がなく、当然上側の相互作用がありません。その結果、以下の図のように、水分子は周囲にある他の水分子を自分の上へ引き上げて囲おうとするのです。

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これが表面張力なのです。例えば、重力がない宇宙空間では、水分子は空中で球状になります。これは球体がもっとも表面積が小さいからです。

水はこの力が非常に強く、72.75 mN/m あります。mN/mは1m当たりの力の強さを力の単位ニュートンで表したもので、Nの前のmはミリ、すなわち千分の一であることを示しています。"mN/m"で表面張力の単位と思っていただいて間違いありません。趣味文の中にはインクの表面張力が記述されています。ここで、インクのように、水分子以外の物質が水中に混じっている場合にはどのようになるのでしょうか。

 水分子はお互いに強く相互作用するため、水分子で自分を囲い込もうとするため、強い表面張力を生じますが、不純物が混じると、水分子同士と比べ、この異分子と水分子間の相互作用は弱くなります。そうすると、この異分子は水分子を引き上げようとする表面張力は弱くなってしまいます。

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表面の水分子も同様です。周囲にあるのが水分子であれば、引き上げようとしますが、異分子であればこの力は弱まります。よって表面張力は下がってしまうわけです。一覧表に載っているインクの表面張力は水だけの表面張力 72.75 mM/m よりも小さくなっているはずです。表面張力は温度にも敏感に影響されますので、温度を一定に保つことも重要です。またちょっとした汚染も大きく影響されます。ですので、純粋な水の表面張力を正確に72.75 mN/m と測定することは大変困難なのです。当然、他の物質の表面張力を測定するのも難しく、かなり慎重に丁寧な実験が必要です。前述したように、器具のちょっとした汚れも相当影響してしまいます。また、ペンダントドロップ(液滴)の表面に埃などの異物が付着することもありますので、器具の周囲は無塵空間でなければなりません。専門家でも難しいといったのはこういったシビアな条件で測定しなければならないからです。インクのように、器具に吸着しやすく、一般的な化学実験で用いる溶液と比べて相当濃い状態ですので、器具洗浄は大変だと思います。

 

次回に続く

 

犬吠ではなく犬伏(薬師堂)

 本日は友人K氏といっしょに、犬吠埼灯台に行って参りました。このことを今日の記事にしようと思っていたのですが、本日、放送された「真田丸」のことをどうしても書きたいので、その感想を。

沼田城跡の観光協会にあった『信之と小松姫』。戦国無双というゲームだそうな。(よく知りませんw)

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 本年の大河ドラマ真田丸」も本日で49回。いよいよ来週が最終回です。

いやー、1年は過ぎるのが早いですねえ・・・。

 「大坂の陣」編が始まってから毎回涙が流れます。年ですなw

真田丸』脚本家の三谷幸喜氏。ちょいちょい笑いを挟むところが現代ドラマなのでしょうが。

 

今までで、いちばんよかったと思ったのは、「犬伏」。三谷幸喜自体が一番書きたかったのも実は「犬伏」ではないか、と思っています。

これは「犬伏の別れ」の舞台になったと言われる、栃木県佐野市新町の薬師堂です。何にもなければうっかり見落としそうですが、これでもか!ってくらい旗が立っています。ちょっと離れた(50mくらい?)ところに駐車場もありますよ。

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ひっそりと建つお堂。こぢんまりしています。

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お堂の中は薬師様が祀られています。古いですが、ご近所の方が掃除などをされるのでしょう。

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立派な案内板がありました。信幸が徳川へ、昌幸と信繁が豊臣側へと話が決まった後、ドラマでは堂内で三人で酒を組み合わすシーンが。三人は談笑していましたが、後の展開を知るものにとってはこれほど涙の止まらないシーンがあったでしょうか。

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で、ここで兄信幸と父昌幸・弟信繁の別れた橋「別れ橋」があったとか。取って付けたような看板がありましたが、ここは道を挟んで薬師堂向かいのお寿司屋さんの駐車場ですw この看板以外、何もありません。川があったのだろうか?

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ボクは真田一族(真田三代)のファンですが、最初のとっかかりはやはり「真田幸村」でした。まあ、入り口というか、真田氏を知るきっかけだったわけです。一族ではダントツの知名度ですからね。その後、資料や真田町、上田訪問してみて段々と広がっていき、昌幸公、そしてその息子である信幸(信之)、信繁(幸村)の三人の関係が非常に心に響きました。戦国時代はどの家でも権力争いや家督争いばかり。もちろんそういう時代だったと思いますが、真田氏は奇跡的に親子や兄弟の絆が感じられる希有な武将でした。特に、信幸・信繁兄弟。三谷幸喜はそこにうまく光を当ててくれたのでした。「犬伏の別れ」として知られる三人の談合は今まであまり脚光の当たらなかった兄・信幸の強さを目の当たりにできた瞬間でした。実は真田一族の中で一番優れて(という言い方はあまりよくないかもしれませんが)いるのはこの真田信幸ではないか、と思います。ある意味、現代の家族的感覚に一番近いというか。「犬伏」回の『どんな手を使ってでもお前を守ってみせる』という台詞にはしびれました。今回の「前夜」でもそうです。これは三谷真田丸の一台詞に過ぎませんが、大筋でボクが感じていた真田一族からそれほど外れてはいないと思います。たぶん、そういう信幸がいなければ、僕自身、ここまで真田一族に惹かれることはなかったのかもしれません。

最後に一言。

「だまれ、小童!!」

 

 

真田三代御朱印

 さて、真田信綱公の御朱印を紹介しましたので、真田神社に祀られている他の真田氏の御朱印を紹介しておきましょう!

 

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真田三代というと、一般的には幸隆公、昌幸公、幸村公の三代を指すらしいのですが、前回(といっても30年前w)の真田氏の大河ドラマだった「真田太平記」では昌幸公、幸村公、大助公のことらしい。今回の「真田丸」もだが、幸隆(幸綱)公は名前もほぼ出ていない(沼田城を引き渡せと言われたときに、昌幸公が「父と自分が苦労した奪った」といった発言をしたときくらい?)ので、幸隆公が入らないことは、まあよしとしよう。だけど、真田氏という『家』を基準に考えると、幸隆公、昌幸公、信之(信幸)公の三代とする方が違和感がない。ボクとしては、この中の誰が欠けても真田一族は成り立たないと思っていますので、けちくさいことは言わず、真田四代(四世代)として、幸隆公、昌幸公、信之公、幸村公、大助(幸昌)公、信吉公、信政公、そして幸綱公、昌輝公 and so on・・・・・。

 

 

インク分析(パーカー・ペンマン サファイア Parker Penman Sapphire その①)

 そろそろ万年筆関連の記事をば。

以前から、友人のK氏より、パーカーのペンマンサファイア(Parker Penman Sapphire)というインクを預かっています。万年筆をある程度趣味としている方だったら、一度は耳にしたことがあるという、悪名高きインクです。「悪魔のインク」とも呼ばれているそうなw どないやねんww

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なんでそんな風に言われるようになったかっていうと、何でも吸入式の万年筆(Pelikanだったかな?)のインク窓(万年筆内にインクがどのくらい残っているかが見える透明な窓)が曇って中身が見えなくなってしまったとか、Auroraのオプティマに入れてたら、インク窓からボキッと折れてしまったとか、恐ろしい噂が飛び交っています。おもしろいことに、このインクを作っているパーカーの万年筆ではこういったことは起きていない、ということ。当たり前ですが、自社製万年筆ではちゃんとテストしているんでしょう。

万年筆の軸材料はいろいろあります。一番オーソドックスなのが、エボナイト。その他、さまざまな樹脂や金属、木材などがありますが、ここで問題にしなければならないのがインク窓用の材料です。インク窓は当然ですが透明でなければならないので、候補となるのが以下のような四大透明樹脂と言われている樹脂です。

ポリ塩化ビニル(PVC)

PET(ポリエチレンテレフタラート

アクリル(ポリメチルメタクリレート、PMMA)

ポリカーボネート(PC)

ちなみにインクカートリッジに使われているのは少し白濁していますが、ポリプロピレン(PP)です。PPは耐薬品性に優れ、衝撃にも強いのでカートリッジ向きでしょう。これらの四大透明樹脂の中でインク窓として使われているのはアクリル樹脂だと思います。アクリル樹脂は非常に透明度が高く、ガラスを軽く上回ります。この性質を利用しているのが水族館の水槽の窓材です。ガラスは大きくぶ厚いものを作ることが大変困難な上に厚みが増すと青い色が強く出ます。これはガラスを製造する際に炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムを使うことによって、ガラスはごく薄い青色になります。一見透明ですが、ガラスの端面が青いのを見たことがあると思います。これに対し、アクリルは分厚く作っても透明度は変わらず、曲加工や貼り合わせによる加工もしやすいので水族館の窓材には向いています。同様に、アクリル樹脂はインク窓材として用いられている可能性が高いと思われます。アクリルは耐薬品性はそれほど高くはないですが、通常の水性インクでダメージを食うほど弱くはありません。ただ、有機溶媒にはそれほど強くもありません。

で、件のペンマンインクサファイアですが、なにかアクリルを冒す有機物質が含まれているのではないか、ということで、溶媒抽出してみました。

溶媒抽出とは、2種類の混じり合わない溶媒、たいていの場合、水とヘキサンなどの有機溶媒を振とうし、一方の溶媒に溶けている物質を他方へと抽出する方法です。溶質はより溶けやすい溶媒へと移動します。例えば、水中に溶けている有機物は有機溶媒と振とうすることによって水から有機溶媒に移動します。インクの溶媒は水ですから、有機溶媒と振り混ぜると、インクの中に溶けている有機物や有機溶媒に可溶な物質の一部は有機溶媒へ抽出されるはずです。
で、ペンマンインクを有機溶媒であるn-ヘキサンと1,2-ジクロロエタンを使って溶媒抽出してみました。
インク1.5cm3に有機溶媒を4.5cm3入れたところ。n-ヘキサンは密度が0.65g/cm3と水(密度1g/cm3)に比べて軽いので、水相、つまりインクよりも上側になります。一方、1,2-ジクロロエタンは密度が1.25g/cm3であり、水よりも重いので、インクよりも下側にあります。
それぞれの有機溶媒の性質について、簡単に説明しますと、n-ヘキサンは化学式C6H14であり、直鎖のアルカンです。灯油に似た匂いがしますが、実はガソリンやベンジンの主成分です。ちなみにシンナーの主成分はトルエンです。水にはほとんど(まったく)溶けません。見た目は無色透明な液体です。下の遠沈管の材質がPP(ポリプロピレン)であるため、薄い白色であるので色が付いているようにも見えますが、実際は透明です。
1,2-ジクロロエタンは塩素系の有機溶媒であり、ツンとする特有の匂いがします。こちらも無色透明です。ヘキサンとジクロロエタンはアクリル樹脂の耐性に違いがあります。ヘキサンの場合長時間付けておくと多少、樹脂を柔らかくすることがありますが、ジクロロエタンはアクリル樹脂を溶かしてしまいます。ジクロロエタンはこの性質を利用してアクリル同士を接着することができます。アクリル樹脂は硬くて透明度の高い樹脂で万年筆にもよく使われます。これらの有機溶媒の性質を応用して、ペンマンインクの溶媒抽出を行ってみました。

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A:インク+n-ヘキサン、B:インク+1,2-ジクロロエタンです。これを振とう機にセットして、

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10分間、激しく振とうします。

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 この装置は人間の腕の動きに近い振とうをすることができるので、抽出効率が高くなります。

十分振とうした後、遠心分離機にセットして3000rpmで3分間高速回転して遠心分離します。

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外見は炊飯器みたいですが、遠心分離機ですw

で、分離したものがこれ。

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①(上側)n-ヘキサン、(下側)ペンマンインクサファイア

②(上側)ペンマンインクサファイア、(下側)1,2-ジクロロエタン、

③(上側)n-ヘキサン、(下側)Pelikan ロイヤルブルー、

④(上側)Pelikanロイヤルブルー、(下側)1,2-ジクロロエタン、

です。比較のためにPelikanのロイヤルブルーも同じ操作をしました。この後、1時間ほど静置すると、こうなります。

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上と下の界面が上の写真よりもはっきりとしています。

まずは右側、③、④のPelikanロイヤルブルーですが、ヘキサン、ジクロロエタンのどちらもほとんど変化は見えません。透明な物質が抽出されている可能性はありますが、とりあえず変化なしとしておきます。少し白っぽく見えるのはこの遠沈管がポリプロピレン製だからです。振とう前の写真と比べて色の変化はないと思います。

一方、①、②Parkerペンマンインクは、①のヘキサンは大きな変化は見られませんが、②のジクロロエタンには劇的な変化が見られます。赤~赤紫色に変化しています。単純に考察すると、水溶液であるペンマンインクからジクロロエタンに溶解する物質が抽出され着色した、その物質はジクロロエタン溶液中で赤~赤紫色になるということを示しています。このことは何を示すか、というと、ペンマンインクより抽出された成分はジクロロエタンに近い性質であると推測することができます。一般に溶媒は似ている性質のものが溶けやすいのです。例えば、水と油はお互いに性質が大きく異なりますので溶け合わず、それぞれ親水性、親油性(疎水性)の物質を溶解します。また有機相に透明な物質が溶けているかどうかわからないので正確なことは言えませんが、現段階ではPelikanロイヤルブルーは親油(疎水)的な物質はあまり含まれていないと考えられます。これに対し、ペンマンインクは赤っぽい親油的、かつヘキサンではなくジクロロエタンに近い物質が含まれていると判断することができます。

これから何がわかるか、というと、ペンマンインクに含まれている有機物はジクロロエタンに性質の類似した物質であるということです。ここで思い出してほしいのは、ジクロロエタンはアクリルを溶かすことができる、という性質です。つまり、

『ペンマンインクに含まれている有機物もジクロロエタン同様、アクリルを溶かす性質である』

可能性が高いということになるわけです!!

 ということは、これまで巷で言われてきた、ペンマンインクが(アクリル材と思われる)インク窓を曇らせる、インク窓がペンマンインクに冒されてへし折れるということは、ペンマンインクが原因である可能性が非常に高いと言えるわけです。

たぶん、ペンマンインクがちょこちょこと付いたくらいではそう簡単にアクリルが曇ったり、折れたりしないのでしょうが、始末が悪いことに、インクは入れたままにしておくために、アクリル窓がインクにずっと触れたままになってしまいます。インクとの接触時間が長くなると、当然劣化も進みますのでより冒されやすくなってしまいます。

いやー、おそろしいですねえw

 と、いうことで、ペンマンインクサファイアの調査その①でした。次は時間があれば、抽出した物質の吸光度測定、およびFTIR測定を実施してみます。

『真田街道ガイド』という名のスタンプ帳 その②

さて、上田から鳥居峠を抜け、嬬恋村を通り過ぎた辺りのスタンプからです。

真田氏や真田街道をプッシュしていない施設では、スタンプがレジの奥に片付けられているようなところもあり、ぱっと見回して見つからない場合は、さっさとスタッフの方に聞く方がいいでしょう。

⑩浅間酒造観光センターwww.asama-sakagura.co.jpここはその名の通り、浅間酒造さんのお酒を販売するところで、特に真田氏との関連はなさそうです。うーん、真田街道沿いにある、というつながりでしょうか?

道の駅 草津運動茶屋公園

ここもどうだろ? 草津温泉は真田氏のときにも湯治場としてすでに知られていたらしく、各地から湯治に来ていたようなので、多少の関連はある、といえなくもないかな? スタンプはまんま、草津温泉ですねw しかし、真田街道ガイドのスタンプなら、他のトコロみたいにせめて六文銭くらい入れとけばいいのに・・・。

岩櫃城温泉くつろぎの館

ここの建物は岩櫃城を模していて、初めて見たときは、こんなとこに城があったっけ?、と思ってしまいました。岩櫃城を模したと説明しましたが、山城である岩櫃にこんな城があったとは思えず、本当に考証できてるのか、ちょっと疑問ですね。それはともかく、『岩櫃城』はまさに真田氏の城でも上田、沼田、真田本城、松代城に並ぶ重要拠点だったので、関連は高いです。ただ、この施設は来年の平成29年3月に閉館になってしまうとのことです。スタンプはどうなるんでしょうね?

あづま温泉 桔梗館

あづま温泉は昭和62年にできた温泉地なので、真田氏との関係はなさそうです。真田街道からも微妙に外れているんですよね。

⑭道の駅あがつま峡

agatsumakyo.jpここも真田街道沿いにあるという以上のつながりはなさそうです。ここに行ったときに見回しても特に「真田感」はなく、街道つながりですかね?

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⑮道の駅霊山たけやま

www.town.nakanojo.gunma.jpここは真田街道から北側の山手へけっこう登ったところにあります。最近はどこの道の駅も周辺住民の方がよく利用されているようですが、ここもかなり賑わっています。『たけやま』は嶽山もしくは嵩山であり、この地には嶽山城がありました。岩櫃城真田幸綱公に落とされた斉藤氏の子がこの嶽山城に籠もっていたのですが落城し、斉藤氏を上野から完全に追い落としたところです。

⑯ふるさと交流センターつむじ

www.nakanojo-kanko.jpここは中之条町の交流所です。中之条は幸綱公の弟である矢沢頼綱公と縁の深い場所で、そういったつながりでしょう。このセンター自体には真田氏に連なるものは見当たりませんでした。ここのスタンプも交流センターのマークそのもので、もうちょっと何とかしてほしいところです。

⑰花の駅 花楽の里

www.town.nakanojo.gunma.jpここは真田街道から大きく外れていて、訪問するのに時間がかかりました。かなり山奥です。レストハウスの周辺は種々の草花が整備されています。が、山の中なので冬期は閉鎖されるようです。ここもあんまり真田氏とは関係がないかな? 真田関連のお土産ものはたくさん販売されていましたが。

⑱道の駅 中山盆地

www.takayama-kanko.jpここは少し真田街道から離れたところにある施設です。近隣の方(と思いますが)で賑わっていました。そのおかげで駐車場に入るのに少々待たされました。ここも『真田感』はほとんどありませんが、六文銭グッズはけっこう売られていました。スタンプもレジの人に聞いてやっと発見。

⑲旧生方家住宅

www.city.numata.gunma.jp沼田城の跡に建てられた生方家の建物です。真田三代検定試験の問題にも出ていました。生方家住宅は江戸時代に建てられていますから、沼田城と直接の関連はなさそうです。沼田城の跡地にある、そういうつながりですね。

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ようやくスタンプブックの半分をご紹介できました。まだあと4ページ分ありますので、もう少しおつきあいください。

 

『真田街道ガイド』という名のスタンプ帳 その①

 かなり以前から真田街道沿いのいろんな施設のガイドブックがあちこちで配布されています。無料です。

真田街道ガイド

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ちょっとくたびれてますが、いろいろ酷使されることになったので、こんな痛み具合に。何でそんなことになったかは以下を読んでみてくださいな。

 まあ、関連施設のスタンプ帳なんて割とどこの観光施設でもよくやってることですよね。そんなに珍しいとか真田オリジナルとかいうもんじゃあないです。ただ、これが、「んんっ??」っと思うのは、スタンプを押す場所の一覧地図。ようく見てください。

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真田街道というと、一般的には上州街道と信州街道の一部、それから松代道のことを指します。上州街道は上田から真田町を通って鳥居峠へ至る道を指します。また信州街道は鳥居峠から高崎へ至る道です。いつも逆なのでは?、と思うんですけど・・・?

だいたいの経路は、松代から上田を経由して真田町に至り、真田町から菅平を目指して山手方面へ登っていって鳥居峠に出ます。鳥居峠から嬬恋へ少し下り、中之条を経由して沼田に至ります。真田街道ガイドによるとさらに沼田から片品村まで含めていますが、片品村と真田氏の関係はよくわかりません。沼田を治めていたことからかしらん?

 まあ、そのくらいは誤差範囲と言えなくもないですが、地図を見ると、北は秋田、宮城、南は大阪、九度山まで載っているではありませんか!

真田街道っていうより幸村公(あえて『幸村』にしてます)ゆかりの地では?、と思うんですが・・・?

しかし、どう見ても範囲が広すぎます。いわゆる松代から上田を経由して片品村までの真田街道だけでも160km超あるんです。単に車で走破するだけでも4~5時間は掛かります。

しかも!

詳しいマップは掲載されていませんが、スタンプの置いてある道の駅などはこの街道から大きく外れているものもあり、道のりはなんと250kmはありそうです。いや、もっとかな?

何でこんなに力説しているか、と言うと、実は先日、やっとコンプリすることができたからなのです。ふふふ。(はあぁ・・・。)

この辺は上田と松代でどっちも大いに真田氏に関係している地であるし、スタンプのある施設自体も真田氏に関連したものばかりです。①上田市観光会館上田城入り口の道を挟んで向かいにあり、真田氏に関連したお土産物やグッズ、上田市と周辺の観光案内所です。②真田氏歴史館は真田氏館跡(皇大神社)のすぐ近くにある真田氏が使用したとされる武具や鎧(模造品)、文書などが展示されています。③池波正太郎真田太平記館はその名の通り、真田太平記を執筆された池波正太郎の資料館です。そして④松代観光案内所

www.nagano-tabi.netは、真田宝物館の隣にある観光案内所です。

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んが!

この辺から怪しくなってきます。

嬬恋村郷土資料館浅間山噴火による鎌原村の被害や嬬恋のキャベツ育成に関する展示などがあります。⑥大笹関所跡、⑦嬬恋村の愛妻の丘

www.aisaika.orgは、広々としたキャベツ畑の真ん中にあるでかい看板横に設置されたポストにスタンプが入っています。建物はないんです。

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⑧道の駅 八ッ場ふるさと館

yambamichinoeki.comは国道145号沿い、八ッ場バイパスの林交差点付近にあります。

⑨浅間崋山博物館

www.asamaen.tsumagoi.gunma.jp

鬼押出し園から少し登ったところで、鬼押ハイウェイ沿いです。このページの施設、特に⑤と⑨は真田街道から大きく外れなければなりません。しかし、もっとはずれているのがありました。(次に続く)

 

 

 

 

第4回真田三代戦国歴史検定

 昨日(2016年12月4日)は真田三代戦国歴史検定

www.kentei-uketsuke.comを受けに真田町に出かけました。3級と2級は試験場として東京と大阪会場があるんですが、1級は真田町しか受験場がないのです。真田町に行くのはもう恒例化しているので、ボクにはわざわざ上田市真田町まで・・・、といった負担は感じません。

と、普通ならここで会場やその周辺の写真をアップするところですが、検定試験前でいっぱいいっぱいだったこともあって、写真を撮るってことが頭からすっかり抜け飛んでいましたw 終わった後はほっとして忘れていたというww ちょっと余裕がなさ過ぎですなw

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会場である真田中央公民館までは道々に案内の方が立っておられたので迷うことはありません。まあ、ボクはよく知ってるので、もともと迷うことはないんですけどねw

思った以上に受験者は多く、第一駐車場はいっぱいでした。会場に入ると、体育館(と思います)に机と椅子が並べられていました。1級と3級の試験が12:00~13:00の同時間帯で実施されました。1級を受験する人は比較的年齢の高い人が多く、一方、3級は小学生からかなり年配の方までいろんな年代の方々が受験されました。ぱっと見、1級が50人ほど、3級が200人くらいでしょうか?

 最近は検定ブームで、こんなのも?!、と言いたくなるような検定もあります。

www.kentei-uketsuke.comそういう中ではまあ、まともな検定でしょう。こういう真田氏に関する検定があると知ったのは一年前くらいで、それより遙か以前から真田ファンだったんですが、気が付いていなかったんです。

 今年の三月に行われた第3回の検定試験を受けていました。このときは2級と3級を併願しました。1級の検定試験を受けるためには2級の資格がないと受験できません。3級はそこそこ真田氏に詳しい人でしたら受かると思いますが、2級はそれなりに真田氏のことを知っておかないと簡単には合格しません。1級は遙かに難しく、相当試験対策しないととても受かりません。問題をお見せすることはできませんが、『真田三代(夫人含む)の戒名や亡くなった日時や、信繁の娘の嫁ぎ先など、生半可なファン程度の知識では「なんじゃそりゃ?!」な問題ばかりです。実際にゆかりの地を訪問するなどしていないとわからないような問題も多いのです。

  で、対策資料として以下の三冊をチョイスしました。まずは公式テキスト。過去問が載っています。初めて読んだとき、2級、3級はふむふむと読めました。3級はだいたいわかりましたが、2級は??が出る問題も散見されました。が、まあテキストを読めば何とかなりそうです。実際、テキストだけで合格できました。ですが、1級になると途端に手も足も出なくなります。たまにラッキー問題が入っていますので、解けたのはそれくらいかな? 

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そこで追加資料として以下の2冊をチョイス。真田氏に関する書籍はちょっとした図書館並みに持っていますが、資料としての確かさ・信頼性を考慮しました。丸島和洋氏は資料を丹念に読み込み、複数の資料を比較検討した書籍ですので、ボクは非常に信頼しています。

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も一つはこれ。各資料に基づく真田氏のさまざまな系譜に関する検討、戦闘時の配下の割り振り、軍団の動きなど図や表を交えて詳しく解説されています。「一番詳しい本」と自負するだけのことはある資料です。ただ、信繁公の祖父である幸綱(幸隆)公のことにほとんど触れられていませんので、真田三代検定対策としては少々不足です。過去問を見ると、真田三代検定はかなり幸綱公に関する問題が多く、また関連して武田氏に関する問題も多いのです。ボクとしては「それは『真田氏』の問題としてはどうなの?」と言いたくなるような設問もありました。今でこそ人気の真田氏ですが、地方の国人領主上がりの小大名ですから、明確な資料は多くはないのです。真田氏では一番人気の信繁(幸村)公ですが、実はもっとも資料がない人物です。幸綱公、昌幸公、信之公は真田家当主でしたから資料もそれなりにあります。信繁公は次男坊であり、人質だったり、馬廻りだったりと資料には残りにくいポジションだったわけです。それに大坂の陣以降、いろいろな創作がたくさんなされて、フィクション山盛りになってしまい、事実が覆い隠されてしまったわけです。玉石混淆というか、事実とフィクションというよりも妄想がごちゃごちゃになっているのです。 

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物語やドラマとしてはそれでいいと思うのですが、ボクとしてはちゃんとした歴史を抑えておきたいのです。以前はフィクションばかりでちゃんとした資料となる書籍が少なかったのですが、今は資料の信憑性の検討を含め、きちんとした学術的考察が行われた書籍が増えたのはうれしい限りです。ここで挙げた書籍は現段階で信頼性の高い考察が行われていると判断したものです。

 そうそう、おすすめできる資料としては以下のような書籍があります。

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スキャナでスキャンしたんですが、サイズが大きくて下と右側が切れてしまってますwこれは郷土出版社より2016年2月に発行された資料集です。定価9,250円(税別)と高価ですが、信頼性の高い資料を丹念にまとめた価値の高い書籍です。サイズはA4よりも一回りほど大きく、ずっしりと重たいですw

 それから真田町がまとめた郷土資料も素晴らしいです。

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これは検定試験の行われた真田中央公民館で売られていました。他にも真田氏館歴史館でも真田町が調査した真田氏関連の資料がありますので、ご興味のある方はぜひお買い求めになってはいかが?

菅島灯台

 今回の灯台は菅島灯台です!

犬吠埼灯台に次いでボクの好きな灯台です。

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灯台というと、岬や港に立っている、という印象があると思いますが、この菅島灯台は港の横にある山の中にぽつんと立っています。

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門扉にはちゃんと「菅島灯台」と書いてあります。が!

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 この上下の写真だと、これが灯台とはなかなか気が付かないのではないでしょうか。

 設計は前回の犬吠埼灯台に続いてブラントン。菅島灯台もレンガ造りです。

 ご覧のように、すごくキュートな灯台で、チェスのルークにそっくりです。国内にある他の灯台と比べると、ダントツに変わった灯台です。最近はいわゆるデザイン灯台という奇妙な格好の灯台がありますが、あれはボク的には不格好でしかないのです。機能美ではありません。この菅島灯台は海に面した島の山の上にポツッと建っていて、灯火の高さを調整してこの寸法になっているのですから、必要な形状というわけなのです。そうでなければ、海風が吹き付ける中、140年もびくともせずに建っているなど到底無理でしょう。当時の日本の煉瓦技術の確かさ、施工能力、そしてブラントンの設計が優れていたという証左ではないでしょうか。

 最初に見た印象は「ここに住みたいなあ」でした。なんでそんなこと思っちゃったのか、自分でもわかりませんが、住んでみたいと思っちゃったんです。昔なら灯台守になるという手もあったんでしょうけどねぇw

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 この菅島灯台は先に紹介した犬吠埼灯台よりも1年ほど早く竣工・初点灯した灯台です。現存する煉瓦製灯台としては最古です。この煉瓦も国産品です。ブラントンは国産(日本産)の煉瓦の強度に疑問を持っていた、というより自国(イギリス)の煉瓦のほうができがよいと思っていたとのことですが、日本にも瓦製造技術があり、140年以上も経っても、写真のようなきれいな状態を保っています。そのため、「日本の灯台50選」、「近代化遺産」に選ばれています。

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この灯台に到達するのは結構難度が高いです。

その名の通り、この灯台は菅島にあります。菅島は下の写真の鳥羽市営定期船で菅島に渡らなければなりません。20分ほどかかります。菅島は伊勢湾の入り口、渥美半島鳥羽市の間の伊良湖水道にあります。

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で、港に着いてから西側の山手に移動します。山の登り口に立つ案内板。ここまで550m歩いています。ここから1.5kmですから、トータルで2.05kmということです。とある案内には徒歩20分となっていましたが、山道もある2.05kmの道のりを20分というのは普通の人には無理じゃなかろうか?

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案内板に従って海岸線を少し歩くと周辺地図がありました。ちょっと見にくいですが、一番左端のところに菅島灯台が乗っています。点線が定期航路でこの船で鳥羽から菅島に渡ったわけです。

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この地図の案内板からすぐに山道になります。山道と言ってもきれいに舗装され、歩きやすいです。

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どんどん登っていくと次の案内板。さっきのところから500mほど歩きました。周りはうっそうとした雑木林です。

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で、さらに登るとメインの道路から遊歩道のような狭い道に入ります。

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この道です。幅はかなり狭くなり、車は通れませんが、やはりきれいに舗装されています。

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さらにさらに登っていくと、この案内板が。やっと1.2kmです。遊歩道に入って道の斜度が増し、歩く速度が落ちています。ここですでに20分。1.2kmを山道込みで20分ですから、まあそんなもん?

 あれっ、これだと菅島港と灯台は1.3kmになるけど・・・??

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周辺は草ぼうぼうで、遊歩道に草が乗り出していますが、しっかりと舗装されているので何とか草の進出を防いでいます。えっちらおっちら登っていくと、おお、ついに念願の菅島灯台が!

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訪問したのが夏であり、熱中症にならないよう比較的ゆっくりと歩きましたので、30分ほどかかりました。次の船まで1時間半ほどしかありませんから、往復の道程で約1時間。あまり余裕はなかったのです。途中にはこんな景色のトコロもあり、もう少し余裕を持ってゆっくりと見物するほうがいいでしょう。菅島は伊勢志摩国立公園内にありますから景色は抜群なのです。島の周辺はこのような岩礁が多く、灯台設立以前は船の難破が頻繁に起こっていたので、灯台の設立は必至でした。もともと、ここには御篝堂(おかがりどう)という火を焚いて目印としていました。350年ほど前です。

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菅島灯台往復経路では誰とも会いませんでした。かなりしっかりと整備されていますので、山道はともかく比較的歩きやすい経路でした。ただしそれなりにしっかりと歩かなければなりませんので、到達難度は中程度でしょうか。ボクとしてはぜひ訪れてほしい菅島灯台でした。

 

菅島灯台

三重県鳥羽市菅島町122

航路標識番号 2750
レンズ     第4等フレネル式
灯質     単閃白光 毎4秒に1閃光
光達距離     14.5海里(約27km)
塔高     9.7 m (地上 - 塔頂)
灯火標高(海面から灯火までの高さ) 54.5 m 

上田電鉄別所線の『真田丸』ラッピング電車

 急にテッチャンのような写真。というと、テッチャンはもっと撮影がうまい!と怒られそうですが、上田電鉄別所線を走っている大河ドラマ真田丸』ラッピング電車です。

気がつけば年末、気がつけば『真田丸』も残すところあと2回・・・。(総集編除く)早いような、短いような。(んん? 同じ??)

 で、この『真田丸』ラッピング電車も『真田丸』終了と共に終了するとのことで、少なくとも放送している間にアップしよう、ということで。

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あっちこっちで見ますが、結構な宣伝効果ですよね。

ただ、大河って途中から見始める人ってほとんどいないんじゃないかと思うんですよ。いわゆる連続ドラマですからねえ。NHKのプッシュもさることながら、今年は特にあちこちで目にした気がします。ボクがそういうところばっかり行ってるから、でもあるのでしょうが、それにしても多いです。近年の大河にして好調だから?

 信繁公の姿絵では頭にはさかやき(月代)がありましたので、大河でも大坂の陣ではそうするのかな?、と思ってましたが、結局なかったですね。お父さん(昌幸公)とお兄さん(信之公)は姿絵通りの髪型でした。

 椅子の横の板(なんて言うんだろ?)にも六文銭が入っています。

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正直言って、最初に堺雅人が「真田信繁(幸村)」役だと聞いたときは違和感がありました。ちょっと前に「半沢直樹」があり、大ヒットしましたが、それがあまりにも嵌まっていましたからね。もともとこの人は熱血(?)サラリーマン役は非常に向いていると思います。以前放送された「官僚達の夏」の官僚役もぴったりでした。ですが、この赤備えの甲姿は見事というほかありません。

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車内も六文銭と結び雁金で統一されています。抜かりはありません。

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ここで、「どっかで見たことがある電車だなあ」、と思った貴方!

正解ですw

上田電鉄の車両は東急池上線・多摩川線の車両のお下がりなのです。東急線沿線の方だったら見たことあっても当然ですよね。ということは、来年になったらまた東急の車両っぽくなるんでしょうか?

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ラッピング電車は別所線のすべてではありません。駅に下のような案内があり、その日にどの車両が走るかが表示されます。ただ、前もって発表されるのではなく、あくまで当日の運行案内のみですので、駅まで確認に行く必要があります。
確か、WEBにはなかったような? と思ったら、ホームページで確認して下さいって書いてあるw

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運行終了する前にぜひ一度乗っみてはいかがでしょうか。

 

上田電鉄別所線

JR上田駅改札から長野側2階へ。